無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 そしてそんな習慣が、ホテルパントムで彼女を助ける行動を引き起こさせたのかもしれないとふと思った。


 と同時に、鈴木は彼女のその後が気になった。



 なにしろ、先日青木家を訪ねたお蔭で偶然彼女の身元を知ることができたのだ。


 自ら徹底して身元不明を謳う謎の美人は、

 よく知るブログの“アネモネ”であり


 青木家のメイド、ユキだったのである。




「失礼します」と、常務室を後にした鈴木は、

自分の席につくとホッとしたため息をついた。


 大きな仕事のヤマを一つのり越えた今、気持ちにも時間にもゆとりがある。


 気にはなっていたが、忙しさの中で頭の隅に埋もれてしまっていた彼女のことを思い出し、スマートフォンを開いた。


 最後に送ったメールは丁度リムジンの中で専務に声を掛けられた時で、

 中途半端に返してしまいそれきりだったことも、思い出したのである。
< 153 / 316 >

この作品をシェア

pagetop