チェロ弾きの上司。


次のオケの練習日。

チェロパートから見えないよう、ファーストの後ろの方の席に座った。
よし。

練習終了後、団長が指揮台に立った。

「次の定演のプログラムが決まりましたので、発表しまーす!」

うちのオケの定期演奏会は、春と秋。
プログラムは、団員のアンケートや投票をもとに、各パートリーダーの協議にて決定される。

「今回は、2曲プロでーす!
まずサブメイン、シェヘラザード!」

ををー、というどよめきが起こる。
一部、わー、という喜びの声も混じる。はい、あたしはこちら。

シェヘラザードは4つの曲からなる交響組曲なんだけど、すべてに美しいヴァイオリンソロが入る。
弾くのは、コンマス!
三神さんのソロが聴きたい人(あたし含まれます)から今まで何度もリクエストされ候補に挙がってきたものの、各楽器、技術的に難しいという理由から却下され続けてきた。
ついに、聴けるんだ!

「メインは、サン=サーンスの交響曲第3番、オルガン付き!」

わー、好き好き!

「議事録配布しますので、パートリーダーは取りに来てくださーい! 次回も頑張りましょう! お疲れ様でした!」



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