それぞれの崩壊
一人目・「痛み」
「他人は他人だ」
 
それが僕のモットーである。
 
誰かが目の前で泣いていようが、子供が僕の足元にうずくまっていようが、関係無い。
 
僕は僕だ。
 
 
今だってそうだ。目の前に野次馬の群れが見える。救急車だのパトカーだののサイレンが聞こえている。
でも僕は、そこで起こっていることを見ようともしないだろう。
足元でギリリと音を立てて砕ける忌ま忌ましいサイドミラーの破片も、ずっと昔からそこにあったものだと解釈するだろう。
 
交通事故など起こっていないのだと思い込んで、飄々と通り過ぎるだろう。
 
少し、ほんの少しだが、人の目も気になる。きっと野次馬達は、僕が冷めきった、不感症の人間だと思うのだろう。
 
かまうものか。
 
僕はそういう人間だ。
 
いや、正確に言えば、そうしないと生きていけない人間だ。
 
 
これから先も、ずっと。
< 1 / 27 >

この作品をシェア

pagetop