不器用ハートにドクターのメス

一人でいるのは、引っ込み思案だから。周りには勘違いされている上、自分から話しかけることができないから。

旧書庫で俺を突き飛ばし、真っ赤になっていたのは、怒っていたわけじゃなく、ただ、恥ずかしかったから。


ああ、と思った。やっとしっくりきた。

そう考えると、全て納得がいく。


神崎はこのとき、真由美の人柄を正確に理解した。

あまりに印象が強すぎる外見に引っ張られて、中身を把握するのにずいぶん時間がかかってしまった。

まさか、こんなにもギャップのある性格だったとは。こんなにも報われない、不器用すぎる女だったとは。


いつもなら、これでお終いだ。

理解し終えてしまったものに、これ以上興味はない。

ところが、理解したというのに、なぜか神崎の中の、知りたいという欲求は薄れなかった。

それどころか、くっとつかまれたような感覚が胸に走り、神崎は思わず、咳払いをした。


……なんだ、これは。


自分の中に起きた不可解な現象に、神崎は少しだけうろたえる。

回答は得た。なのに、どうして興味が引いていかないのか。

もしかすると自分は……福原を分析するだけではなく、陥落させてみたいのだろうか。

久々に、恋愛分野における興味を、俺は抱いたのだろうか。

けれど、今までに抱いてきたそれらとは、どこか違っている気がする、と神崎は思う。

神崎にとって、いつだって女という生き物は、攻略対象だった。

オトせるかオトせないか。一時的な刺激でしかないものだった。

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