さくらの花が舞う頃に

戸山くんの優しさ



さくらside


しんと冷たい冬の風が私の足もとを通り抜けて行った。



寒い。



思わず顔をしかめたけど、あんなことを言ってしまった以上、今さら教室に戻ることなんてできない。



あのあと、教室を出た私は特に行くところもなく、気づいたら屋上に来ていた。



なぜ屋上に来たのか、自分でもわからない。



だけど、私の足は自然と屋上へと動いていた。



また冷たい風が吹く。




< 270 / 463 >

この作品をシェア

pagetop