さくらの花が舞う頃に




「えー、まじ?山本、スキーやったことあんの!?俺も教えてもらおっかな〜」



すると突然、佳奈の後ろからそう言う声が聞こえてきた。



私たちがほぼ同時に振り向くと、そこにはなぜか頬を紅潮させた宮下くんの姿があった。



そんな宮下くんの様子を見て、少し違和感を感じる。



あれ? なんか…………



「でもよー、俺ら、スキーなんかしてる余裕ないよな。

受験生なんだし、『スベってる』場合じゃないって」



宮下くんがそう何気なく言うと、たまたま近くにいた宮下くんと仲のいい男子が驚いたように

宮下くんを見つめた。



「おおー!!宮下のくせに今上手いこと言った!すげーー!成長!」



ちょっと上手いこと言っただけでこんなにも驚かれてしまうのも可哀想だけど、

当の本人である宮下くんは誇らしげに胸を張る。



それに…………




< 412 / 463 >

この作品をシェア

pagetop