大人の恋は波乱だらけ!?
儚い背中と大きな背中
「高梨部長!!」


彼を見つけたのは明美と別れて直ぐだった。

何気なく向かった屋上。
そこに貴方は居た。

フェンスの前に立ち、その奥をひたすら見つめている様に見える。


「高梨部長……?」

「来るな!頼むから……来ないでくれ」


ガンッとフェンスが揺れた。
彼の苦しそうな声に胸が痛くなる。
思わず足を止めたけど、すぐに歩き出す。


「……高梨部長」

「来るなって……言っただろう……?」


ポツリと呟かれてその言葉。

震えた貴方の声が、体が。

やけに哀しそうで……。

見ていられなくなったんだ。


「やめて下さい……もう……苦しまないで下さい……」


彼の背中にしがみ付く様に抱き着いた。
貴方がどこかへと行ってしまわない様に、強く。
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