大人の恋は波乱だらけ！？
1歩ずつ前へ
高梨部長の腕の中で泣いてから数日が経った。

あれ以来何も変わらない私と高梨部長の距離。
彼は私に答えを求める事はせずいつも通りだった。

そんな高梨部長に甘えて私も自分からその話はしなかった。

今は前に住んでいたアパートに空きがあったのでそこで暮らしている。
偶然にも前と同じ部屋。
急な事だったのに対応してくれた大家さんの優しさに甘えてしまった。

まるで昴さんと会う前の生活が戻ってきたみたいだ。

彼がいなくても私の人生は当たり前の様に回っていく。

胸の痛み以外は。


「桜木」

「高梨部長、何ですか？」


彼のデスクへと向かえば1枚の紙を渡された。


「新しい仕事の依頼だ」

「ありがとうございます」


シナリオライターとしての仕事も順調だ。
沢山の人が私たちが作ったゲームで笑顔になってくれる事が本当に楽しい。


「桜木ちゃん！部長！ちょっといいっすか？」

「はーい」

「分かった」


神崎先輩に呼ばれた私たちは彼の元へと向かう。

その間に突き刺さる視線にももう慣れた。

相変わらず、社員が高梨部長を見る目には偏見が含まれているけど……。
彼はものともせず堂々としている。
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