雪国ラプソディー

「ところで私の顔の方が、変じゃないですか?」


おそるおそる朝から気になっていることを聞いてみる。私にとっては服装よりもこっちの方が重大な問題だったからだ。小林さんはシートベルトを締めながら私の方をちらりと見て言った。


「顔? 別に変じゃないよ」


(よかった、人には分からない程度のむくみだったんだ。もう、私ったら心配性なんだから!)


さっきまでのどん底の気分はどこへやら、ほっとして笑顔まで飛び出しそうになった。そんなゲンキンな私に小林さんが発したのは再び地に落とすようなひと言だった。


「いつも通りの丸顔だな」

「……それは、どうも」


ーー私の乙女心なんて、小林さんには一生理解できないんだから!


そう心の中で悪態をついた私は、しばらく窓の外を見たまま黙り込んだ。

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