雪国ラプソディー

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はあ、天国。
もうここから離れたくない。

私はストーブの真ん前に陣取っていた。
包まれるような暖かさに、ぼんやりと意識が霞む。
ストーブの奥、赤かったり青白かったり、ゆらゆら揺れる炎を眺めていると、心が落ち着いてくるから不思議だ。

ーーこんな状況でも落ち着ける私って、意外と神経図太いのかも。


「ここにいたのか」


かけられた声に振り向くと、小林さんが靴を脱いであがって来るところだった。もしかしたら捜していたのかもしれない。

私は慌てて居住まいを正した。


「すっかりくつろいじゃってすみません。村山さんに連れてきてもらいました」


小林さんはストーブの前にしゃがんで、少し設定温度を上げてくれた。
白いワイシャツの上に濃いグレーのセーターを重ねていて、暖かそう。


「村山に変なことされてないか」

「えっ?!……いえ、別に」


そうか、と短く言うとまた無言になった。
先ほど、頭をなでられるというちょっとしたスキンシップがあったわけだけれども、なぜだか怖くて報告できない。


「もうすぐ先方が見えるから、終わるまで休んでて」


ここなら誰か来ても見られることはないから、と付け加えた。
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