雪国ラプソディー

パーティー仕様の破壊力


小林さんは髪をセットしてあり、キリッとしたフォーマル感が漂っている。なんだか雰囲気が違うと思っていたら、前髪を軽く流してあることに気付いた。

それだけの変化だというのに、私は今、直視すらできない。

目のやり場に困って視線を下に向けると、ネクタイもシルバーグレーのリングタイでお洒落だし、胸ポケットに差したチーフも同系色の華やかなものだった。

……パーティー仕様、恐るべし。


「なっ、何でここにいるんですか」


取りあえず何か喋らないと、と掠れる声で発した私の言葉に、呆れた様子の小林さん。


「……何でって、浅見と一緒だろ。席次表見て驚いたよ」

「席次表?」


私は慌ててサブバッグの中を漁った。それを広げて驚愕する。


「ああっ! 本当です。小林さんの名前があります!」


ここは私にとっては土地勘が全くない場所。絶対に知り合いはいないと思っていたから、よく席次表を見ていなかった。小林さんのところには〝新郎友人〟の文字が書かれてある。
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