雪国ラプソディー

ネガティブな酔っぱらい


素晴らしい披露宴だった。

絵里さんは綺麗だし。料理は美味しいし。
私は、絵里さんがお色直しする度に写真を撮り、鮮やかなコース料理が運ばれてくる度に写真を撮り。時間を忘れて楽しんだ。
披露宴に〝楽しい〟と表現するのは適切かどうかは分からないけれど、皆を笑顔にさせてくれたのは間違いなく絵里さんと旦那さんの人柄だと思う。


「絵里さーん! すごくいい披露宴でしたああ」

「菜々ちゃん、泣きすぎでしょ」


うふふ、と優しそうに迎えてくれたのは新婦の絵里さん。今は、披露宴が終わって出口で新郎新婦と挨拶を交わしているところだ。


「今日は本当に、来てくれてありがとうね」

「絵里さんのためならどこでも行きますうう」


よしよしと頭をなでてくれる絵里さんは、さながら姉のようだ。

披露宴の終盤で絵里さんがご両親へ手紙を読んだところから私の涙腺は崩壊してしまい、今私はこのような醜態を晒している。正直に言うと、少しだけ酔っている。


「落ち着いたら、また会いましょうねえ!」


いつまでも花嫁さんを占領しているわけにもいかず、私はその場から離れた。旦那さんに何度も「私の絵里さんをよろしくお願いします!」とクダを巻いて。

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