カエルさんに恋しました
私を気に入ったのかと思った志賀さんだが、気のせいだったようだ。オゴリもせずにサッサとお開きになったし。予想外で財布は寂しくなってしまった。女もこの歳になればオゴッて貰おうなんて甘かったのか。同じ年頃の人と比べたら若いほうだと思っていたのに。離婚予定だからということではないが、なんか私、女をアピールしてる。ちやほやされたくて。だから、空振りな今夜はなんだか落ち込んでしまう。
寂しくなると携帯をチェックしてみる。彼からの連絡が入ってないかと。
私には彼氏がいる。一つ年上。職業は教師。
私が離婚することと彼の存在は関係ない。彼と私は恋人では、ない。ただの彼氏。
彼が借りている秘密の部屋で週に一度か二度会うだけの関係。彼は部屋を出ると自分の本当の場所へ帰って行く。悪気もなく。
こんな、彼とはやがて二年になろうとしている。彼は自分の都合で私を呼び出し、そして帰って行く。こんな関係に自分を納得させるまで今までかかった。お互い寂しくなると会うだけだけど、お互い必要としている。必要だから出会った。
必要だから、私はまた誰かを欲しがっている。彼以外に私を必要としてくれる人。
志賀さん、私を見るあの視線、ドキッとしたんだけどな。彼と出会った夜の彼の視線と同じだったから。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop