いちりょうぐそくっ!
「狩り・・・めんどくさいなぁ。私はお部屋に籠っていたいな・・・。」


相変わらず覇気の無い声でいう姫。

「そう言えば姫は殺生が嫌いでしたな・・・。しかし、我々人間が生きているのは鹿や猪といった動物を狩って、そして食べて生きているからです。生きていくからには殺生は必ず付きまといます。」

福留親政の説教くさい話を面倒に思い、姫はやる気無くいう。

「いや・・・猪に追われるのが怖いだけ・・・。あと外に出たくないし・・・。」


何とも情けない理由である。父の国親なら激怒するであろう。


しかし、福留は何とかして姫を狩りに連れていきたいと思っていた。

「大丈夫です!私がついていますから!」




そう言われると悩み考える姫。

「爺と二人っきりは嫌だなぁ・・・。出来れば親信と行きたいな・・・」



「親信とか・・・まぁ姫が奴と行きたいなら誘ってみます。てか・・・私と二人っきりは嫌なんですかっ!?いつも姫の面倒を見ているのに・・・!」

福留親政はかなりショックだったみたいで軽く涙を流す。

姫も少し言い過ぎたと思い、親政に謝る。


「あ・・・爺ごめんね。少し言い過ぎたよ・・・。別に爺の事嫌いって訳じゃないから・・・。むしろ、いつもお世話してもらっているし嫌いになれないよ・・・。」



姫にそう言われると少し嬉しい顔をする。

「そ、そうですか。とりあえず、今度狩りに行きましょう!ちゃんと久武の若大将を呼びますから」
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