リアル
プルル、と耳に響くコールの音にあたしはどんどん不安になった。

そりゃあ昨日、あんなことがあったばかりだから。





『――遅い』


4回目のコールの後、ようやく聞こえた声は、ぶっきらぼうで不機嫌そうだった。


「すみません……寝てました」


『こんな時間まで?』


「あ、いえ、昼過ぎまで。いろいろしてて、今気づいたんです」


『忙しい?』


「いえ、宿題とかしてただけなんで……もう終わりました」


カイ先輩はふうん、と電話口の向こうでうなずいて、それっきり黙り込んでしまった。

あたしは不安になって、おそるおそる尋ねた。


「あの……怒ってます?」


すると、あたしの質問には答えずに、カイ先輩は怒ったままのような口調で言った。


『うちに来て。会いたいから』





サユリさんと浮気してようが、

必要とされることは、今のあたしには嬉しかった。


不安で夜も眠れなくて、でもそんなときにさしのべられた手は――例えそれが、あたしを裏切った手だとしても、すがりついてしまうのだ。




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