リアル
今回の走行会は、参加車両を10〜15台ずつ程度に３つにクラス分けし、15分を１ヒートとしてクラスごとにサーキットを走る。

カイ先輩は中級、森川さんは様子見で初級。


開会式が終わり、８時15分からすぐに初級クラスの走行が始まった。

ピットロードに並んだ森川さんの車の助手席から、フルフェイスのヘルメットをかぶったリュウくんが手を振っている。


スタートを見送ったあと、カイ先輩とふたりで、サーキット全体を見渡せる場所へ移った。


「そんなに広くないだろ？スピードは出ても100キロくらい。それ以上に、ドリフト中はＧがかかるから、気分が悪くなったらすぐに言えよ」


「はい……。でも、どきどきしてます……やっぱ緊張しちゃって」


あたしは胸を押さえて、大きく息をついた。

そんなあたしを見て、カイ先輩は笑っている。


「大丈夫。運転手はおれだぞ？おまえが心配するようなことはなんにもねぇよ」


太陽の光の下で、先輩の笑顔がますます眩しく見えた。


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