リアル
思い出した。

あたしはこの目に惚れたんだ。





兄が昔に撮った、走行会の写真。

見せてもらった中に、この目を見つけた憶えがある。



ピットロードに並んだ車。

まだローレルじゃない、カイ先輩の車。

ピースをしたカイ先輩。

ヘルメットを被ろうとしている瞬間。

ふざけた変な顔。



そして――この目をした、カイ先輩の姿。



その時も今と同じ、ヘルメットの隙間からのぞく、眼光に、やけに鳥肌がたった記憶がある。


まだモ会の部室に出入りしていなかったあたしは、その写真で、

当時まだ名も知らぬカイ先輩を好きになったんだ――……













「――――っ!」


最初は恐くて、声も出なかった。

周りの景色が回るような感覚に陥り、そして強いGがあたしの身体にのしかかる。


でも、ドリフト中のカイ先輩の目は、まるで子どもみたいに輝いて見えた。

楽しくて仕方がないらしい――。


「……怖くないか!?」


そんな先輩の隣で、あたしは声をはりあげた。





「――最高です!」





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