SECRET COCKTAIL
tennessee cooler


翌週、家庭教師が行われる予定の日。

拍子抜けする程普通通りに、雅君は家にやって来た。


あれからお兄ちゃんには何も聞くことができなくて。

きっと家庭教師はもうお終いなんだろうと勝手に思っていたのに。


雅君は本当に何も変わらない様子で家に来て。

そのままいつも通り勉強を始めてしまうから、あの日の出来事は嘘だったのではないかと思える位だった。


私から雅君に、何か聞く事もしなかった。


もしかしたら雅君は、私の態度で何か気が付いていたかもしれないけれど。

それでも、雅君から私に何か言う事もなかった。



だから私は。


そのまま、普通通りにしている事が唯一私に出来る事で。


だからこそ、たった一つの繋がりを大切にするために。

ただ必死に勉強に取り組んでいた。

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