SECRET COCKTAIL


「彩芽さん、大丈夫?」


「大丈夫よぉ、ねぇ、ちょっと来て」


お店の横にある狭い路地。

そこに二人の姿が消えてしまって、引き寄せられるようにふらりと足を向けてしまった。


「ねぇ、いいでしょ?」


髪の長い、ボルドーのワンピースを着た綺麗な女の人が、雅君に抱きかかえられるように立っていて。

長い睫毛に縁取られた瞳が、ねだるように雅君を見上げていた。


雅君の長い指が、彼女の髪を梳いて。

その髪を絡めるようにして、彼女の顔を引き寄せていた。




大きな瞳がゆっくり閉じられていくのが見えて、徐々に二人の顔が重なっていく。


< 192 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop