強引な彼の求愛宣言!
「武藤さんって、宮信にいるフカダさんて女性のこと知ってます?」



仕事が一区切りついたタイミングで、コーヒーを淹れようと給湯室に立った。

するとすでにそこにいた後輩の男が、マグカップ片手にそんなことを切り出してきて。



「……深田さん?」



唐突な質問に思わず眉を寄せながら、俺は反芻する。

みやしん、というのは、ウチの会社が取引してる宮園信用金庫のことだろう。

そこにいる『フカダさん』といったら、俺の場合ひとりしか思い浮かぶ人はいない。



「まあ、知ってるけど」

「まぁじっすか! 見た目どんな感じです? 年齢は?!」



インスタントコーヒーの蓋を開けつつ答えれば、今にも掴みかからんばかりの勢いで食いついて来た。

去年新卒で入社したばかりの青島は、元バレー部ということもあってかガタイが良く俺より10cmほど背が高い。

そんなやつに無駄に近い距離で見下ろされ、思わず身を引いた。



「なに青島、その熱の入りようは」

「いやー、実は今日、私用で宮信さんに電話かけたんですけどね。そんとき電話対応してくれたフカダさんが、もう、親切だし自分どストライクな声だったんで!! 武藤さんならたまに窓口行くし、本人見たこともあるのかなーって」

「……へーえ」



つい、相づちを打つ声に少しの不機嫌さが混じってしまったのは、致し方ない。

──だって俺の方が、先にあの声を見つけて特別に感じたのに。
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