その手をぎゅっと、離さないで




「で、どんな感じで別れたの?」

「んー、ホント瞬殺」

稚菜にケータイを見せた。



すると稚菜が怒りはじめた。


「は?何コイツ?理由も言わず別れるとかま
じ意味でわからない。
別れたくなかったんだよね?桜華も桜華で
何で''嫌''って言わなかったわけ!?」




その言葉が心に刺さった。

確かに…

なんで''嫌''って言わなかったんだろ。




「言えなかった。怖かった。」

思い出すと、涙が出てきた。

「そう、だったんだ…。」




沈黙が続いた。

稚菜のせいで私が泣いたと思ったのかな?











「桜華。
アタシ、男子が苦手だから付き合うとかよ
くわからないけど…
自分の気持ち、伝えてみるのもいいかもし
れないよ?」



「もう、無理…かも。」




「うん、アタシが決める事じゃない…から…
ゆっくり考えてね。
いつでも相談乗るからさっ!!!」


嬉しいよ。

こんな友達が側にいてくれて。




「うんっ!!!」

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