秘密の契約
郁斗は心の中でがっかりした。


あの男性に捕まっては早々こっちへ来られない。


あの年配の男性は郁斗も知っているここの総支配人だからだ。


話が長いんだよ……あの人。


「郁斗 千波くんは仕事中なの 来るわけが無いでしょ」



日菜は不機嫌そうに郁斗を睨むと飲み物を取りにカウンターへ行った。









飲み物を片手に戻ってくるとビンゴカードが日菜のテーブルの上に置かれていた。


「豪華賞品が当たるらしいよ?」


梨絵がうれしそうに言う。


先ほどの会話を聞いていた愛と梨絵は日菜の気を紛らわそうとしてくれている。



「良い物が当たれば良いねっ」


日菜は愛と梨絵の旅行が台無しにならないように笑顔で答えた。







~~~~♪


郁斗の携帯が鳴った。


「はい?」


日菜がすぐ傍にいるから「兄貴」とは言わなかった。


『日菜の事を頼んだぞ?』


それだけ言うと電話が切れた。







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