秘密の契約
『郁斗、どうだった?』


すぐに愛が出た。


「日菜は?」


『部屋に入ったっきり声をかけても出てこない』


「兄貴は医務室にいるって言って 風邪と過労で倒れたって」


『えっ!千波様が!?すぐに行くように言う』






部屋をノックする。


「日菜、日菜、千波様が大変だよ!早く出てきて」


中からは返事がない。


「日菜っ!」


梨絵も愛の隣で呼ぶ。


「千波様、倒れたんだって!」





ドアが開いた。


日菜の驚いた顔が覗いた。


「千波くんが倒れたって……?」


困惑の表情を浮かべて立ちすくむ。


「郁斗から電話で千波様は医務室にいるって」




<千波さんはもう休んだ方がいいわ>


電話で聞こえた十和子の声。



あの人はわざとあたしが勘違いするような言葉で言ったんだ……。


あの時、千波くんは具合が悪かったんだ……。


「千波くんっ!」


日菜は駆け出した。




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