オタク女子。

「まあ、難しいタイミングではあるけど僕は是非行って欲しいな。あ、別に強要とかじゃないから。ただ、僕はとても良い経験になったからさ」

「え、浅野さんも行かれたんですか?」

「僕の場合は1年だけだったけど、あっちの開発チームにも携わることが出来てとても楽しかったなぁ」


浅野さんがマグカップ片手にその時のことを思い出すような遠い目をした。よっぽど良い経験だったんだろうってことが伝わってくる。そんな浅野さん。なんて格好いいんだろう……!!


「あ、そう言えば進藤からなんか聞いた?」
「何かって何ですか?」
「あ、いいや。なんでもない。じゃ僕仕事に戻るね」


……え。
私は遠ざかる浅野さんの素敵な背中を見送ることしか出来なかった。いつもなら手を振るのに。そして今の何だか怪しい言葉は何なんだ?一体ひかるになにがあったのだ?


「……うーーん」


ひかるの最近の行動を思い返してみる。
が、わからない。

こういうことを察するのは私が一番不得手とすることだ。考えてもわからないことは聞くのが一番。私はコーヒーを取り合えず飲み干すと、そのままひかるに話を聞きに自分のデスクへと戻った。


しかし、ひかるはあまりデスクでする仕事がない日だったようで私は終業したら話を聞こうと彼を取っ捕まえる決心をした。余計なお節介かもしれない。

けど、ひかるの有事の際には同期として駆けつけなければならないのだ!それが日本人はの大和魂というものではないだろうか?(勘違い)








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