恋の後味はとびきり甘く
エピローグ
 バレンタイン当日はさすがに前日ほどの忙しさはなく、無事に一日の仕事が終わった。美佳ちゃんとも今日でお別れだ。

「美佳ちゃん、お疲れ様。一ヵ月間、本当にありがとうございました」

 私の労いの言葉に、美佳ちゃんがぺこりと頭を下げた。

「こちらこそお世話になりました」

 顔を上げた彼女がそわそわしているので、つい笑みが込み上げてくる。

「彼とのお疲れ様会、楽しんでくださいね」

 美佳ちゃんの頬に朱が差した。

 幸せそう。好きな人に誘われたんだもん、当然だよね。

「後はシャッターを閉めるだけだから、美佳ちゃんはもう上がっていいですよ」
「はい、ありがとうございます!」

 美佳ちゃんがいそいそとコートを羽織り、弾むような足取りで出て行った。

 そのうしろ姿を微笑ましい気持ちで見送り、私は肩を落とす。

 さ、私も帰ろう。今日は私もひとりでお疲れ様会しようかな。
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