恋の後味はとびきり甘く
「やだ。今日“も”元気ですよ」
「それならよかったです」

 私の返事を聞いて、彼がニコッと微笑んだ。

 ああ、どうしよう。この笑顔をもっと見ていたい、なんて思ってしまう。

 今日も彼はチョコレートを買ってくれるだろうか。私をお茶に誘ってくれるだろうか。

「今日はこの小さいのをください」

 彼がショーケースの一番端にある二個セットのトリュフを指差した。

「ありがとうございます」

 小さな紙袋に入れて差し出し、代金を受け取った。

「ありがとうございます。それじゃ」

 彼が言って背を向けた。

 え、今日はもう帰っちゃうの!?

「あの」

 彼が振り返り、私はありったけの勇気を集めて言う。

「よ、よかったら、今日もお茶を飲んでいきませんか?」
「すみません。今日は予定があって」
< 40 / 166 >

この作品をシェア

pagetop