2月14日
聞き慣れない声がした。
私以外に人がいたことを、その時に知った。
びっくりして振り返ると、そこには男の人が立っていた。
見たところ高校生くらい。
きっと同い年か、ひとつ年上くらい。
服装は暖かそうなコートに覆われていて詳しくは見えなかったけど、ゆるっとしたパンツにラクダ色の冬用のブーツを履いていた。
黒い短めの髪の毛に、目じりの下がった優しげな瞳。
声も低すぎず高すぎず、聞き取りやすい声。
雰囲気の柔らかい男の人。
じっと見てたらその人は困ったように笑って、「捨てるの?」と、またつぶやいた。