2月14日
いつもと同じ時間に先輩は電車に乗り込んできて、その電車の混み具合に嫌な表情ひとつ浮かべず、彼はいつも通りの眠そうな顔で平然とドアに寄り掛かりながら立っていた。
心の中で「すごいなあ~」なんて呟いて、あと10分もすればやって来る激混みラッシュが頭を掠めて、またもや嫌な気持ちになる。
先輩が乗って一駅分進み、彼の友達が乗ってくる。
先輩は眠そうな顔から一変し、いつものように意地悪そうに目を細める。
いつものたった10分があっという間に過ぎる。
そして、やってきた。
……毎朝おなじみ、だけど私が体験したことのなかった、すし詰め状態の電車内。
背が平均よりも小さい私は、当然人の波にあっという間に埋もれた。
周りには制服を着た高校生だったり、通勤途中のOLさんやサラリーマン。
四方八方から押されに押されて、全く身動きができなかった。
さっきまで真正面にいたあの名前も知らない他校の先輩の姿も見えなくて、なぜだかすごく不安になったのを今でも覚えてる。