王子の初恋は私な訳ない

職員室に向かう途中沢山のドラマがあった。
クラスメイトAちゃんが転び、パンツが見えそうになったのを上着を抜いで隠す。
どっかの男子が走ってきてクラスメイトBちゃんにぶつかりそうになったのを庇い、私がぶつかる。
「これくらいの身長差の彼氏が欲しいなぁ」とクラスメイトCちゃんに言われる。
そこに隣のクラスDちゃんも加わり世間話になる。

この学校の女の子は可愛い。
しかもみんな気さくで、何故かすれ違う度に友達が増えていく。
なぜか本気で女の子に告白される事もある。
「彼氏だったら良いのに」って言葉を何度言われた事か。
クラスの男子にもガチで恋愛相談をされたりする。

どう考えたって私は男の子だと思われてる気がする。

「大丈夫、あんたは女の子だよ。」
「うん♪すっごく可愛い女の子♪ 」
なんて言ってくれる澪ちゃんとももりんはきっと私の女々しい部分を1番知ってくれているからだろう。

そんな事考えながら職員室を出た。
渡されたのはクラス全員の問題集。
結構分厚く、正直女の子が1人で持つのにはキツイ量だが
「うん、成田なら大丈夫でしょう。」
と言う先生もやはり私を男だと思っているらしい。

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