かわいい君まであと少し
【2】予想外の彼と彼女
 ああ、よく寝た。
 ベッドから体を起こし、ぼーっと部屋を眺めた。
 引っ越してきたんだな、私。
 カーテンを開け、窓を開けると暖かな風が入ってきた。あと少しで六月。初夏も近いなと思った。

 冷蔵庫を開けるとミネラルウォーターや冷凍食品などが入っていた。姉が気を利かせて入れておいてくれたらしい。
 あとで、お礼の連絡を入れなくては。
 軽く朝ごはんを食べ、段ボール箱と格闘することにした。
 とりあえず、しわになりやすい服、春服、夏服、あと部屋着や下着関係は出さないと。
 取り出した服をハンガーに掛けたり、収納ボックスの中にしまったりした。
 秋物と冬物はまだいいか。
 押し入れの空いているスペースに段ボール箱を押し込んだ。

 それなりに片付いた部屋でごろごろとしていると昼近くになり、スーパーへ行くことにした。
 今日明日は部屋でゆっくり過ごしたいため、少し大荷物になるが、多めに食材を買ってからアパートに戻った。

 二階に上ると、押し問答している男女が見える。
 修羅場かな。
 存在を消しつつ、自分の部屋へ向かうと、修羅場はお隣の二〇一号室だった。

「そんなこと言われたって無理だ」
「大丈夫、大丈夫」
 女性の横にはベビーカーとボストンバッグに紙袋。足元から視線を上に向ける。
 へーえ、きれいな人。うん? えっ。

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