キミに恋の残業を命ずる
こうして始まった、秘密の残業生活。


いったいどれほどの非情な扱いを受け、どんな無理難題を強いられるかと不安だったけれど。

実際に始まってみると、なんてことはない。
ただ退勤後に訪れて夕食を作っては一緒に食べる―――言葉のまんまの生活を繰り返すだけだった。


「お手伝いさん」と銘打たれたから掃除や洗濯もさせられるのかと思ったけど、「さすがにそれは自分でやるからいい」と言うし、朝食は夜の残り物ですませてくれるし、昼食は外食に行ってしまうし…これじゃ愛想つかした旦那によりも雑な扱いですんでるぞ!?と、正直拍子抜けしていた。



「ごちそうさまでした。今日も美味しかったよ」

「お粗末様でした」


と夕食を終えれば課長もすぐにさげてくれる。
いいですと遠慮するけど、ちゃんと洗い物も手伝ってくれる。



「じゃあ、紅茶淹れますね」

片付けを終えたあとは紅茶を飲むのが決まった食後の過ごし方。

課長はコーヒーより紅茶派だ。
ストレートからハーブティーブレンドまで…気分や時間に合わせて飲むのがお好み。
< 116 / 274 >

この作品をシェア

pagetop