キミに恋の残業を命ずる
「三森―、ちょっと悪いんだけど、このリストまとめといてくれない?」

「あたしのもー。今日ちょっと用事あってさー」



退勤時間を過ぎて、さぁ帰ろうとバッグを下げたところで、狙ったかのように同じ総務部の先輩たちに引き止められた。


「え…今からですか…?」

「いいじゃない。あんたどうせまっすぐ帰るだけなんでしょ?あたしたちはこれから大事な約束があるのよ」

「そーそー。てゆーか、もとはと言えば、あんたのドジをフォローしたせいで終わらなかった仕事なのよ。恩返ししてくれてもいいじゃない」


う…そう言われては、なにも返せない。


「だぁーいじょぶだってー。昨日だってあんなにやっかいな仕事ひとりでやっつけたじゃなーい?それにくらべたら、こんなのすぐ終わるって。新人の試練だと思ってガンバって」

「そそ、先輩からの愛のムチってやつよ」



「じゃあヨロシクねー」とくすくす笑いながら、先輩たちはさっさとオフィスから出て行った。
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