キミに恋の残業を命ずる
「あ、あのわたし」

「気分はどう?キミ、シャンパンを飲んだら急に倒れてしまったんだよ?覚えてる?」


ふるふる…と首を横に振ると、微笑みながら課長はベッドに腰を下ろした。

朝日に照らされたその瞳は、昨晩の色っぽさを潜ませた代わりに穏やかでやさしい雰囲気をかもしだしていた。


「お酒、そんなに強くなかったの?」

「…というか、飲めませんでした」


課長は苦笑った。


「なら言ってくれればよかったのに」

「…せっかく作ってくださったのに、悪いと思って」


呆れるような吐息が聞こえる。
課長は口調をいっそうやわらかくさせて続けた。


「今日は会社を休むといい。あまり表情もよくない。二日酔い、つらいんだろう?」

「いえ、そんなわけには」


二日酔いで仕事を休むなんてありえない。
しかも当日欠勤なんて…先輩たちに後でなにを言われるか、想像しただけで震える。
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