二次元なんかに負けてたまるかっ!!
Case4:ゲームVS僕
僕には好きな子がいる。
その子の名前は『EIKA』。

僕はその名前しか知らない。

顔も年も知らない。

今流行りのオンラインRPGゲーム。
僕は見事にはまっている。


世界中の人がネット回線を通して同じ画面の中にいる。
現実味はないけど、それは確かに現実であって、でもヴァーチャルでもある。


そのフワフワした曖昧な世界が僕を魅惑する。
顔も声もばれることのない、「文字」で会話する世界。


別に僕は現実世界が嫌いなわけじゃない。
ゲームに逃げているわけじゃない。

ただ、何ていうのかな、見えない何かが余計に神秘的に思わせるんだ。

だから今日も僕『TATSUYA』はゲームの世界でモンスターを斬りまくる。
そして画面の中の皆と楽しいひと時を過ごす。


今日は週末、夜の9時に集合してイベントに臨む。
あ、今日は『EIKA』もいる!

久々に話しかけてみた。
何だろう、今日はやけに会話が進むなぁ。

へぇ、やっぱり女の子だ。
お、オレの実家と同じ街じゃん!
マジでマジでー!?
今度の連休、オレ実家帰るから会おうよ!

…え、オレ今何て言った!?
やべ、調子に乗りすぎて…嫌われ…

OK出ちゃったよ!
何か最初話したときから物腰が柔らかくて勝手に『EIKA』を想像してたけど、本物に会えるんだ!!
あわよくば、お付き合いなんて…ちょっと図々しすぎるかなぁ。


あぁ、やっと今日という日がやってきた。
いつもは実家に帰っても退屈だったり、隣に住んでる幼馴染の秋江にどっか連れてけって散々わめかれたりで、うんざりだけど…。

昨日は美容室で髪も切ってもらったし、新しいジャケットも買ったし、いざ出陣!

「あ、達也、出かけるの?」
「おぉ、秋江、お前もか?」

「うん、わ、達也のくせにめかしこんで生意気~、デート?」
「うるせぇな、お前には関係ないだろ!」

「ふぅ~ん、『EIKA』と初顔合わせ?」
「おぅよ………って、何でお前が知ってるんだ!?」

「『EIKA』逆から読んだら…?」


……オレは一生、ゲーム内でも現実でも、この女の手の上で転がされる運命らしい…。
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