私のエース
 職員室の廊下から覗いていた私は、担任の顔が見る見る変わるのを目撃した。
私や磐城君同様に、相当ショックを受けたようだった。
そして頷き、そのまま屋上へと向かった。
私はその後を付けて行くことにした。




 みずほの堕ちた柵からは見えない屋上の階段へと続くドアの横。
私は此処で二人を見ることにした。


私と磐城君で事前に充分検証した結果、担任にいてもらう場所に最適だということになったからだ。
その下調べも兼ねていたのだ。




 百合子は参加した全員が握った鉛筆で、さもそれがキューピッド様の意思のようにみせかけと《いわきみずほ》と書いた。

磐城君でも、みずほでも良かったのだ。
磐城君が死ねば橋本君はずっとレギュラーだ。
でもみずほなら、クラスメートを焚き付ければ自殺にもっていける。
そう踏んだのだ。


岩城みずほは優等生で、成績は常にトップクラスだった。
だから彼女が自殺してくれたら喜ぶ生徒が大勢いるだろうと推測したのだ。


きっと福田千穂は磐城君が大好きだったので、《いわきみずほ》と書かれて驚いたのだろう。
だから、男か女か聞いたのだろう。


私には、いくら磐城君を愛しても受け入れてもらえなかった彼女の哀しみが堪えていた。


私がエースと付き合い始めたことにより、千穂と同じような思いをさせた生徒達に申し訳ないと思い始めていた。




 (もし助かったならやはり転校しよう)

エースとこれからも付き合うとしたら、私にはそれ以外方法はなさそうだ。
遠距離恋愛にはなるけれど……


私は、私達の未来のために今日を生き抜く決意をした。




 でも私は気付かなかった。
彼から貰った手鏡が無くなっている事実に……
私はそのことで屋上へ誘い出されたのだった。


目の前には〟死ね〝 と書かれた手鏡があった。
私は思わず走り寄った。




 『おかしいわね。何故みんな来ないの?』
百合子が言い出す。


『用事でもあるんじゃないの』
千穂も言う。


『みんなが来ないと私達帰れないじゃない。千穂本当にみんなに言ったの?』


『当たり前よ。ちゃんと言ったわよ!!』


『それじゃー、何故来ないの?』

百合子は少しイライラしているようだった。


(百合子はきっとクラスメートを焚き付けて完全犯罪を狙ったのだ。ヤバい、殺られるかも知れない)

恐怖に怯えながらも私はそう感じた。




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