恋という名の迷路 ~甘くて苦い迷宮~

迷宮の入り口…

今日は入学式




やばい!!



入学式早々遅刻なんてシャレになんないからっ!





キーンコーンカーンコーン





HRを知らせる鐘が私のいる昇降口前まで響く。




どうしよ…遅れるっ!!




上履きもはかず廊下を走り、階段を駆け上がり始めたその時…





ずるっ…





私は足を滑らせて転んでしまった。




「いったぁ。」




段差を椅子代わりにして座り込む。




やっぱ上履きはけばよかった…




そう後悔していると誰かが手を差し伸べてくれた。



…だ、誰……?



顔を見ようとしたけどちょうど逆光でよく見えない。




嬉しいけど…知らない人だし……




ちょっと躊躇してると私の手首を引っ張り、ゆっくりと立たせてくれた。




「あ…ありがとうございます…」



「大丈夫?一応保健室行くか…」




そういうと体を支えて一緒に保健室まで連れてってくれた。





良かったことに私のけがは軽い捻挫。



怪我した直後は痛かったものの、もう一人で歩けるから心配はないだろう。




そうだ…お礼っ!!




お礼をしようと保健室にいるはずの彼を探した…



…が、彼はもういなかった。





先生がいうには上履きの色が高1の学年カラーだった…らしい。



顔はしっかりと覚えていないし名前も知らない。




根拠もない、けど…
















私は彼が運命の人…そう思えた。















< 2 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop