アオゾラをカナデヨ
「随分と余裕な発言だな」

余裕、だなんて一平は言うけれど、本当はただの強がりだ。私だって側にいたい、香子と安斉くんが仲良くしているところは見たくない。
ほんとは、焼きもちだってやくんだよ。

でも香子の気持ちが痛いほどわかるのも事実で。

「……けっこうフクザツなんだけどな」

思わず本心が口からこぼれる。

すると、フワリと優しく叩かれた頭。

「分かってるよ」

柔らかな笑顔の一平に、私も笑顔を見せる。本当は私に余裕がないことなんて分かってくれているはずだ。そんな一平にもう一回お礼を言って、会場へと戻る。


いよいよ、結果発表だ。


全ての学校の演奏を終えた会場内には、発表を待つ生徒たちで溢れていた。私も一緒に頑張っできた仲間と一緒に座り発表を待つ。少し前の席には安斉くんの姿も見える。
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