アオゾラをカナデヨ
「まだ熱ありそうだな、なんか食べて薬飲まないと」

「うん……お母さんが作ったスープあるから、それ食べる」

「おう、じゃあっためて持ってくる」

あの事故は一平が私を助けてくれなかったら、私も怪我をしていたはず。だから一平の怪我は私のせいじゃない、みんなそう言ってくれた。
でも……。

「ほら、食べな」

程なく戻ってきた一平の手には暖かい大好きなお母さんのスープ。いい匂いがする。

「うん、ありがとう。手痛くない?」
「もう大丈夫だよ、気にすんな」

お母さんの優しさと一平の優しさが入っているスープは本当に美味しかった。

「優しいね、一平」

「は?なんだよ、ソウだってオレの腕、心配してくれたろ?一緒じゃんか」

「……うん」

照れた顔は昔と変わらない。

助けてもらってばかりでヘコむけど、一平の笑顔を見ると安心する。

幼馴染って、案外いいものなのかもしれないな。

ありがとう、一平。

それから私は薬を飲んで、また寝てしまったようだ。
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