アオゾラをカナデヨ
サンカクのユクエ


外はどんより曇り空

イヤだな、雨降りそう……。

ピアノのレッスンがあるため、みんなより一足先に部室を後にした。

テストを4日後に控えた今日も、安斉くんは部室には来なかった。

クラスが違うから、部活がないとなかなか顔を合わせることもない。

校門を出て1人歩いていると。

「ソウ!」

後ろから聞き慣れた心地よい低音の声が聞こえて、反射的に心臓が跳ね上がる。

「安斉くん!」

「そんなにびっくりしなくても」
「あ、あはは」

いや、ちょうどキミのことを考えていたのでね……なんて言えない。

久しぶりの彼は相変わらずタイヨウの様な笑顔を持っていた。

「部室行ってたのか?」

「うん、数学やってた」

「オレはクラスのやつと英語」

「そうか……」

そっか。クラスの子と勉強してたんだ。

ダメだ、なんか緊張してしまう。

安斉くんとはよく話すようになって慣れてきたのに、香子のことを聞いたからかな。

いつもならどんよりな空を、明るく照らしてくれる安斉くん。

今日の私には少し眩しすぎるくらいだ。
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