アオゾラをカナデヨ
セツナサのヌクモリ


テストも無事に?終わり、オーディションまであと1週間と迫っていた。

あれから香子に会うことはなかったが、莉子から話を聞いているとさすがに意識せずにはいられなかった。

それでも安斉くんは部活で私と一緒なれば、たわいもない事やからかわれたりする程度だったが、必ず声を掛けてくれた。

意識してしまい、私からはうまく話しかけられないけれど、彼の方から話しかけてくれる時には私も自然に素直に話すことができた。

それは安斉くんの持つ暖かさや安心感からだろう。彼が、自然に私を受け入れてくれるのが分かる。

それでもオーディションが間近に迫っていたので、みんな多少ピリピリしていたし、浮かれている場合ではないのだけれど。

部室中が活気に満ち、集中力を高めていた。

競争率はそれほど高いわけではないが、コンクールに出場できる人数は限られている。

仲間だけど、みんなライバルだ。
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