イジワルなカレの愛情表現
♯8【イジワルな彼と過ごす甘い?一夜】
手を繋いだままやってきたのは、永瀬さんの住むマンション。

五階建ての三階の角部屋で、落ち着いたモノトーンの家具で統一されていた。


永瀬さんは「散らかっているけど」と前置きして部屋に通してくれたけど、全然散らかってなどいなかった。


ついキョロキョロしながらもリビングに通されると、ソファーで待つように言われ、永瀬さんはキッチンで珈琲を淹れてくれた。


香ばしい珈琲の香りに包まれるリビング。


永瀬さんは密着するように隣に腰を下ろしてきたけど、身体が密着する現状に耐えられなくて、少しずつ距離を取っていた時だった。


「柚香、もっとこっち来いよ。でないと話聞けないだろ?」


バレないように少しずつ動いていたつもりだったけど、バレないわけがないよね。

少しだけ離れた距離から永瀬さんは「こっちおいで」と言いながら、手招きしている。


それだけで胸がキュンと鳴ってしまう。


そもそもずっとドキドキしっぱなしだった。
永瀬さんの部屋に来るのも初めてなのだから。


「ほら、早く。でないといつまで経っても話できないぞ」

痺れを切らし差し出された大きな手。
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