イジワルなカレの愛情表現
「なによ、そう思っているならどうしてそんな男のことが気になるわけ? ……相談までしてくるほど悩んでいるってことは、好きなんでしょ? 顔はいいと思うけど、私にはどこに魅力を感じるのか理解できないけど」


身体を戻しながら、陽菜は呆れたように話を続ける。


「それに今まで陽菜が好きになったことがないタイプじゃない? だから新鮮に感じるだけなんじゃないの? 好きって錯覚しているのかもしれないよ。……またいつものように〝重い〟って振られて傷つくのは、あんたなんだからね」


一見冷たく感じてしまう言葉達は、全て私のためを思って言ってくれているのだと、理解している。


「ありがとう、陽菜。……でもね、なんとなくとしか言えないんだけど、永瀬さんは今まで付き合ってきた人とは、違う気がするの」


それはあの日から何度か食事に行くたびに、感じていたことだった。



* * *


永瀬さんとキスしてしまったあの日、私は逃げるように資料室を飛び出してしまった。


それというのもキスの余韻に浸ることなく、永瀬さんってば「このままここで続きする?」なんて言ってきたからだ。


すぐに永瀬さんから離れ、「するわけありません!」と言い残し、資料室を後にしたのは言うまでもない。
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