恋はまるで、粉雪のようで。
ひさしぶりのトキメキ
仕事があまり手につかず、本田さんからいろいろ突っ込まれたけどスルーして、午後からはペースアップして頑張って、19:30にブックカフェのある駅に着いた。


会社を出る前に『これから出ます』とメッセージを送った。


『リョーカイ、待ってる』


こんな短い言葉でも、思わず口元が緩んでしまう。


改札を出ると、年下男がすぐそばで待っていた。


「ひなたさん、お疲れさま」


「お疲れさまです」


「おなかすいたー、何か食べたいものはある?」


「いえ、何でもいいです」


「じゃあ、こっち」


年下男は、ブックカフェとは反対方向へ歩いていく。


「あの、本は大丈夫なんですか?」


「うん、借りてきたから平気」


「お店の人に、何か言われたりしませんでしたか?」


「ううん、何も。


もし言われても、もう仲直りしたって言うし」


「そうですか」


「ひなたさん、また敬語に戻ってる。


怒らせないとタメ口でしゃべってくんないの?」


「そんなことないですけど・・・」







< 32 / 94 >

この作品をシェア

pagetop