恋はまるで、粉雪のようで。
はじめての夜
祐子と美佐と別れた日曜の夜。


私は、帰りにスーパーへ寄って、すぐに作れそうな夕飯メニューの食材を買いこみ、急いで家へ戻った。



地下鉄に乗る前に櫂くんへ電話して、今夜うちで夕飯を一緒に食べない?って誘ったら、


「その言葉を待ってたよ」


また、ドキドキさせられた。



いい歳して、年下に翻弄されていいのかとも思うけど。


いまの私は、櫂くんにすっかりハマっていて。


常に、頭の片隅で櫂くんのことを考えている毎日だった。


テレビで紹介されているお店に、一緒に行ってみたいと思ったり。


おもしろい本を読めば、すすめてみたくなったり。


新しいメニューを試してみたり。


これが、恋っていうんだな・・・と、冷静になる自分もいたり。



トマトリゾットとサラダの準備ができた頃。


玄関のチャイムが鳴って、櫂くんがうちに来た。


「おじゃまします」


「どうぞ」


「ひなたさん、楽しかったみたいだね」


「うん、よくわかるね」


「だって、顔に書いてある」


思わず自分の頬に手をあてると、


「書いてないけどね」


そのまま、ギュッと抱きしめられた。


「はやく、『おじゃまします』じゃなくて、『ただいま』って言って入りたい」


「えっ、どういう意味?」


「しょーがないな、夕飯食べたら説明するよ。


すっごくいいにおい、手洗ってくる」



櫂くんの二度目の私服もオシャレで、自分の服が恥ずかしくなった。


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