桃色アルバム
「国が違うったって、人間であることにかわりはねえじゃねえか。なのに、どうして殺すんだ?死んだら悲しむヤツらがいるってこと、わかってるだろうに」
「そうだよな」

こんどは川嶋だ。

「国が違うってだけで、両方とも容赦ねえもん。戦争なんて、ただの殺人だ。同じ人間を殺して、得られるもんなんてたいそうなもんじゃねえよ」

「そうだよね。たかが土地やらでしょう。そんなもの、人を殺してまでしてほしいのかな」
ゆりかも、イライラしているのか、さっきから足をバタバタしぱなしである。

「なんで人殺しなのに、つかまんないのかな。この世界はどうなってるんだい」
さとこは持っていたシャーペンをベキリと真っ二つにへし折った。


「・・・・なんか、しんみりしちゃったな。ごめん、俺が戦争のことなんて言ったから」
「上野のせいじゃねえよ」

渡部が真っ先に否定した。

「でも、戦争っていうテーマはいいんじゃねえの」
「俺も、そう思った」
ケイタが言うと、崎野も手をパチンとうってきた。

「じゃ、決まりだな」
「さっそく、まとめなきゃね」

7人が顔を見合わせた。

「がんばるぞっ」
「おー!!」

1年8組の教室に、子供たちの明るい声が響いた。

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