この手を離さない
しかし試合を見ている間、私達は一言も言葉を交わさなかった。



いや、交わせなかったのだ。



余りに驚きが大きすぎて。



すごいっ!



このスピード感、車いすとは思えない。



座った状態で、あの高さにシュートできるもんなの?



3ポイントは普通のバスケでも難しいのに、ここの人達は腕だけを使いシュートを決めている。



なんという腕力!



この人達、本当に障害があるの?



健常者でもここまで機敏に動くのは至難の業だ。



車椅子が、まるで彼らの脚のように見える。



この人達は、ここまで動けるようになるためにどれほどまでに努力を重ねてきたのだろうか、と考えただけで鳥肌が立った。



光輝の方にちらっと目を向けると、やはり食い入るように試合を見つめている。



考えていることは、たぶん私と同じ。



驚いたり感動したりと、長く忙しい時間だった。




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