この手を離さない
私は、事態が飲み込めずただ立ち尽くしていた。


こんなにも感情的な光輝を見るのは初めてで、ただ事ではないことだけを肌で感じていた。



事実、病室には光輝ママとお医者様と看護師さん、仕事に行っているはずの光輝パパまでもがいて、皆一様に沈痛な面持ちで光輝のそばに立っていた。



「奈美ちゃん、ちょっといい?」



光輝ママに呼ばれ、タッパーを拾う間もなく引きずられるように病室の外に連れ出された。



散らばっていなかったところを見ると、かろうじて中身は無事のようだ。


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