この手を離さない
不意に体に重りを乗せられたような感覚に襲われた。



光輝パパから発せられた言葉は、短くも私を奈落の底へと突き落とせる程の破壊力を持つ代物だった。



「えっ……何を言ってるの?」



言葉の意味が呑み込めずに、黙って光輝パパの顔を見つめた。



湯呑みを持つ手が震える。



「実はね、さっき奈美ちゃんと光輝が話してるのを私達2人も廊下で聞いていたの。病室を飛び出した奈美ちゃんを、光輝に頼まれて急いで追いかけたんだけど見失っちゃって」



「嘘……」




あの言い合いをすべて聞かれていたなんて……。



無我夢中だったから人の気配を感じる余裕はなかった。


< 98 / 191 >

この作品をシェア

pagetop