砂時計
第二章 縁

1

『あいたい』

彼から私のLINEにそんなメッセージが届いたのは、木々がザワザワと揺れ、外に出なくても風が強く吹いているのがわかる朝のことだった。

『私も』

いつものように、短いメッセージを送った。逢いたいと言うのなら、逢いに来てくれたらいいのに。私は、いつだって逢える。『忙しいから逢えない』と言い出したのは、誰やったっけ?

彼の態度に少しイラつきながら、朝の身支度を整えた。そのうち、なにかしらメッセージが届くやろう……と期待して。

出勤時刻になり、家を出る。彼からはメッセージが届くどころか、未読のままだった。

はぁ……と、ため息をついて歩く。風の強い朝なのに、スカートを履いてしまったことに後悔をしながら、すべては自分勝手な態度を取る彼のせいだと思い込む。

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