俺様上司は溺愛体質!?

「売り切れてなくてよかったぁ……」

 ホッとしつつ、硬貨を入れミルクティーのペットボトルを買う。

 戻ろうと踵を返したところで、
「……真屋もさぁ……」
 という声がして、思わず立ち止まっていた。

(今、真屋って聞こえた?)

 いけないと思いつつも、そっと声のした方へと近づく。

 そこはお客様の談話室も兼ねてソファーセットが二つ置いているだけのスペースなのだが、どうやら営業部の若手男子社員たちがコーヒー片手におしゃべりをしているようだ。

(気になる……うちの社内って緑が多くて助かるわ……。)

 大きな観葉植物の下にしゃがみ込んだ。

「九月にさ、リヨンでフランスニット連盟が主催する国際ランジェリー見本市があるんだけどさ、そこの主催者から、プレズィールからは真屋さん出せってご指名きてるんだって」



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